童話屋

女に生まれ、恋をし、妻となり母となる、その折おりに、女である自分をふくめ、生きとし生けるものを讃えつづけ"女の一生"を綴った詩人・新川和江さん、究極のアンソロジーです。

代表作は「わたしを束ねないで」ですが、スゴイ詩といったら「赤ちゃんに寄す」でしょう。地球上のすべての男たちは、この詩の前で、ただただひれ伏すしかありません。

(前略)
<わたしが生んだ!>
どんな詩人の百行も
どんな役者の名台詞も
このひとことには
適いますまい

吾子よ おまえを抱きしめて
<わたしが生んだ!>
とつぶやく時―

世界じゅうの果物たちが
いちどきに実る
熟した豆が
いちどきにはぜる

この充実感
この幸福
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