ぼくが ここに ぼくが ここに
まど・みちお 詩
「ぼくはぼくでいい」。あるがままの喜びに満ちあふれていることを、うたい続けてきた存在の詩人まど・みちお詩集の決定版。
まどさんの詞華集「くまさん」を出版したのが縁で、この詩集が童話屋から出ました。めずらしく書き下ろしです。
河合隼雄さんが、これは存在の詩である、と絶賛してくれました。表題の「ぼくが ここに」を全文ご紹介しましょう。
ぼくが ここに いるとき
ほかの どんなものも
ぼくに かさなって
ここに いることは できない
もしも ゾウが ここに いるならば
そのゾウだけ
マメが いるならば
その一つぶの マメだけ
しか ここに いることは できない
ああ このちきゅうの うえでは
こんなに だいじに
まもられているのだ
どんなものが どんなところに
いるときにも
その「いること」こそが
なににも まして
すばらしいこと として
まどさんの詩業は、この詩で極まった感がありますが、
編者は、この詩一編が、ノーベル平和賞に値する、と信じているのです。
- A6・160頁
- 定価(本体 1,500円+税)
- ISBN978-4-924684-70-6