ほほえみにはほほえみ

ほほえみにはほほえみ

川崎洋 詩

詩人・川崎洋さんは、22歳のとき詩の同人誌『櫂』を茨木のり子さんとともに創刊しました。谷川俊太郎さんや吉野弘さん、岸田衿子さん、大岡信さんなどが同人でした。

もともと日本人には得手でないユーモアやウィット、エスプリのエッセンスも、すくいあげて詩にしてしまう練達の詩人。洒落た小咄などは、上等な葡萄酒にも似た芳醇な香りのふくいくたる詩に変化してしまいます。

タイトルにもなった「ほほえみ」という詩をご紹介します。

 

ビールには枝豆
カレーライスには福神漬け
夕焼けには赤とんぼ
花には嵐
サンマには青い蜜柑の酸
アダムにはいちじくの葉
青空には白鳥
ライオンには縞馬
富士山には月見草
塀には落書
やくざには唐獅子牡丹
花見にはけんか
雪にはカラス
五寸釘には藁人形

ほほえみ には ほほえみ

 

目次

ほほえみ/地下水/海で/しかられた神さま/わが愛するチャップリンが

花/あずき/言葉/少女の海/音/動物たちの恐ろしい夢のなかに/記憶

きみにとってぼくは/五月/ひどく/早くしないと/夕焼空よ…など全48篇

  • A6・160頁
  • 定価 1,375円 (本体1,250円 + 税)
  • ISBN978-4-924684-96-6