ぼくは ぼく

ぼくは ぼく

谷川俊太郎 詩

この詩集に収録した初めの詩「生まれたよ ぼく」を読んだとき、編者は名状しがたい感動を覚えました。熱いものがこみあげて、しばらくは瞑想状態でした。

山はいつまでも高くそびえていてほしい
海はいつまでも深くたたえていてほしい
空はいつまでも青く澄んでいてほしい
そして人はここにやってきた日のことを
忘れずにいてほしい

編者はいまも、この詩を人前で、声をつまらさずに読むことができません。

かつて谷川さんの父、谷川徹三さんは宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を「明治以来の日本人の作ったあらゆる詩の中で、最高の詩であると思っています。もっと美しい詩、あるいはもっと深い詩というものはあるかもしれない。しかし、その精神の高さにおいて、これに比べうる詩を私は知らないのであります」と話されました。
「生まれたよ ぼく」こそ、その精神の高さにおいて「雨ニモマケズ」に肩を並べる詩なのではないでしょうか。

こどもとその未来について、また平和について、氏の近年の詩作を中心に編んだ、童話屋の第三詞華集です。

  • A6・152頁
  • 定価(本体 1,500円+税)(2017.2.3より新価格)
  • ISBN978-4-88747-117-7